考察:涼宮ハルヒの時空観

提供: SOS団Miraheze支部
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涼宮ハルヒシリーズで時空について言及する勢力は、主に4つである。朝比奈派の未来人藤原派の未来人、情報統合思念体、そして天蓋領域である。さらに詳細を詰めると、二派の未来人はともにTPDDによる時間旅行を行っており、基本的な部分での時空観を共有していると考えられるから、時空観そのものはおおよそ3つに大別されると言って良い。

ここでは、それぞれの時空観と、彼らの見解から得られる涼宮ハルヒ世界の時空観の考察を試みる。

未来人の時空観

未来人の時空観は、時間平面という言葉を軸に展開される。時間は「パラパラ漫画のようなもの」であり、TPDD、時間平面破壊装置は、その時間平面に穴をあけることで過去へ遡行することができる。時間旅行については、時間平面同士の相互作用は断絶しており、故に過去への遡行がタイムパラドックスを引き起こすことがないと説明される一方で、既定事項の実行が自分たちの未来につながるという、一見すると矛盾した説明がなされる。また、既定事項の消滅にエネルギーが必要であることから、時間の固定も改竄も、エネルギー現象であることと、涼宮ハルヒの力が、時空平面を丸ごと書き換えるだけのエネルギーを有しうるということも示唆されている。

情報統合思念体の時空観

情報統合思念体の時空観は、主に二つである。「時空連続体」すなわち、時空は連続的存在であるということと、時間旅行にはいろいろ方法があるが、本質的に空間移動と等価であり、かつその方法は言語的概念では理解も説明も不可能ということである。

天蓋領域の時空観

この解釈は後述の考察に譲るが、興味深いことが示唆されているので、周防九曜驚愕における言及を引用する。

  • 時間は一定方向への不可逆的事象ではない
  • 時間は常にランダムに発生している。連続していない
  • 時間は有限
  • (一秒と二秒の間の時間について)ない。ただし、あると思う行為に危険性はない

考察

1. 時空は連続か

情報統合思念体のみが、時空を連続的存在として扱っている。しかし、これは、時間が「ある」と思って振舞っても危険性がないという天蓋領域の見解、及びパラパラ漫画に喩えるように、断絶していても人間には連続として感じられることが示唆される未来人の見解と突き合わせると、実際には時間は量子化されており不連続だが、恰も連続であるように感じられ、情報統合思念体の演算処理上は連続として扱った方が何らかの理由で取り扱いやすかったからそうみなしているのだと解釈することが可能である。

簡単に言うと、時間は不連続だが、HQクオリティ写真がドット絵には見えないのと同じ原理で、人間や宇宙的存在にとっての体感時間スケールで見た場合、時間平面が十分に密につまっているので、疑似的に連続しているかのように振舞う、ということである。

2. 時空の有限性

時間を不連続とみなすと、天蓋領域の語る時間の有限性についても理解可能となる。

第一に、ビッグバンから始まったのであろうと、涼宮ハルヒの情報爆発から始まったのであろうと、時間には始まりがあり、宇宙の消滅を持って終焉するという、既知の物理学の範疇における時間の数量としての有限性が、この世界の時空観に含まれていることが分かる。

第二に、時空は不連続で量子化されている以上、時間平面の数が文字通り有限であることを意味する。つまり、アニメに始まりと終わりがあり、そのコマ数が限られているのと同じように、連続体ではない時間は無限に分割することはできず、最小単位の積み重ねとして有限であるということを意味する。

そして、一秒と二秒の間に時間がないが、あると考えても危険性がないという天蓋領域の主張は、線分と点の関係と同じようにとらえることができる。有限個の点は、ある区間内にどれだけ詰めようと線分に対しては0である。が、十分密につまっていれば、我々からすると恰も一本の線であるかのように見えてくる。天蓋領域は、時間についても同じことが言えると述べているのである。

3. 時空とエネルギー

時空の改変にはエネルギーを要するという未来人の見解は、時空がエネルギーによって作用できる対象であるということを意味する。これは宇宙ひものことなどを考えるとあり得なくはない話である。

ここで肝心なのは、未来人は時間平面に穴をあける程度のことはできる強いエネルギー源を有しているが、一方である過去の地点からの未来の全面的な書き換えを可能とする、涼宮ハルヒの力並のエネルギー源は持っていないということである。

これについて、実はある仮説があるのだが、それは別稿涼宮ハルヒとTPDDに譲りたいと思う。

4. 時空と既定事項

TPDDを使って過去に遡行しようとも、未来人は自分たちのいる未来を改変することはできない。しかし、彼らは未来を固定しようとして、既定事項の遂行を心がける。この矛盾しているように見える現象は、実は確率分布の変動として解釈すればよいのではなかろうか。

天蓋領域の言うように、時間平面はランダムに発生する。つまり、ある瞬間の次の瞬間の時間平面には、常に数パターンあり得て、それぞれのパターンのどれに落ち着くかは、確率的・ランダムに決定される。

既定事項の遂行をせずとも、実現可能性がある未来は実現しうる。但し、既定事項の遂行は、実現可能性のある未来の確率分布を改変する。そして、未来の改変ができないとは、元の確率分布において確率0の未来を誘導できないということを意味する。元からあり得る未来の中で自分たちの未来に至る確率を高めることができても、元からあり得ない未来については、未来人は何も手出しできないのである。

例えば、姉を失いたくない藤原にとって、もし仮に姉の喪失が確率100%の未来であれば、その未来はTPDDによる改変では逃れられない。しかし、朝比奈みくる(大小)のいる未来と藤原のいる未来は、少なくとも驚愕の最後で涼宮ハルヒが次元断層を発生させるまでは、ともに確率0%でも100%でもなかったがゆえに、併存できるのだと考えることができる。

まとめ

まとめると、涼宮ハルヒ世界の時空は量子化されており、かつ確率的・有限な存在であることが分かる。また未来人は、どのような未来に至るかの確率分布には手出しでき、かつ実際にしている一方で、あり得る未来の中の確率操作以外のことは何もできないこと、つまり元からあり得ない未来は誘導のしようがないことが推察される。

そして、涼宮ハルヒには、あり得ない未来ですら発生させようと思えば発生させることのできる能力があることも予測されるが、これは全て、時空がエネルギー的存在であるからだと考えられる。

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