考察:エンドレスエイトは実は超分裂だった?

提供: SOS団Miraheze支部
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エンドレスエイトループ説への反証

空間不足問題

アニメ版エンドレスエイトでは、毎度毎度登場人物の服装が変わり、市民プールやスーパーマーケットの描写も変わる。枚挙的ではあるが、描写されていないループにおいて服装等が重複していたと仮定する根拠はどこにも存在しない。

故に、仮に時間がループしていたと仮定すると、各登場人物のクローゼットには数万~数十万枚の衣装が収納されていたこととなり、更には市民プールもスーパーマーケットも、北高周辺の限られた地域の中に15532件も集中していたというあり得ない状況が発生する。

ループだとすると、物理的に空間が足りなくなるのである。

悔いなき夏休みを過ごしたいと思ったのはいつのハルヒか?

ループ説では、8月31日に夏休みに悔いを感じたハルヒが毎回時間を8月17日まで巻き戻すという解釈が取られている。しかし、「夏は夏らしく、夏じみたことをしなくてはいけない」といい、「失った時間は決して取り戻せない」から「たった一度きりの高一の夏休み」を楽しもうと決意した[1]のは、8月17日、あるいはその前夜16日のハルヒである。そしてこの時点でハルヒは既に、「夏休みはもうあと二週間しかない」のに「やり残したことがたくさんあるような気が」していて[2]、次の二週間の行動計画を立てているのだから、悔いなき夏休みを過ごしたいと願ったのはエンドレスエイト開始直前(8月16日深夜)のハルヒである。故に、そのハルヒが満足いく夏休みを求めて無数に世界を分岐させたとしてもおかしくはなく、ループ説が成立しない場合はむしろその方が自然だということとなる。

この場合、31日のハルヒは、9月1日につなぐルートをオープンし、次元断層を解除するか決める判定者の役割を演じるに過ぎない。

事実、アニメ版のループ脱出失敗シークエンスでは、8月31日の11時59分59秒までの時間を描いたシークエンスこそ存在すれども、日が変わる瞬間を描写したシークエンスは一切存在しない。時間が巻き戻された描写が存在ないため、巻き戻しが描かれていないのは、巻き戻しが実際起こっていなかったから、という解釈をしても矛盾しないのである。

情報統合思念体は時空を越えない

ループ説。

情報統合思念体は「時間も空間も超越している存在」[3]として言及されるが、実際には天蓋領域と異なり消失時空の「局地的な改竄」[4]程度で吹き飛ぶ存在でもあり、あくまで時空内部の存在だと考えた方が筋が通っている。その場合、ループ説の通り「すべてがリセットされ」[5]るのであれば、情報統合思念体の記憶もリセットされるはずであり、長門有希と言えどもそれを免れることはできない。

エンドレスエイトを知らない長門の予測

消失』において、消失事件(高一時代)からみて3年前の七夕にいる長門は、確実に同期できた最後の相手が3年後の七夕、つまりエンドレス前の自分自身でありながら、「メモリ空間に蓄積されたエラーデータの集合が、内包するバグのトリガーとなって」異常動作につながり、「わたしは必ず、三年後の十二月十八日に世界を再構築するだろう」「対処方法はない」[6]と発言している。この長門は七夕以降の自身と同期したという証拠が存在しない以上、エンドレスエイトの発生を知らないはずである。

確かに、七夕以降のSOS団の歴史について、長門はキョンからの話を受けてはいる。だが、キョンの話でされたのは「(光陽園)ハルヒに語ったやつ同様のダイジェスト版」[7]であり、ハルヒに話した内容でも、長門に話した内容でも、キョンの説明したとする内容に、エンドレスエイトへの明確な言及は存在しない。この事件はハルヒの「退屈しのぎアレコレ[8]や「映画撮影とその後日談[9]に比べても改変規模の大きい重大な一件であり、もしキョンが話していればここまでキレイに言及が一切されないはずはない[10]。つまり、キョンは、何らかの理由でエンドレスエイトについては話すのを控えたことが推測される。仮に確実に推測できるとまではいかないにせよ、実際そうであったとしても矛盾はしない。語られていないことについては両義性が常に生じうるからである。

それにもかかわらず長門の消失時空を発生させる改変が不可避だと長門が結論付けたのは、エラーは夏休みの体験期間が二週間だったという前提の下で、3年後の12月18日にエラーの蓄積がその行動をさせると宣言しているのである。

この場合、エラーの蓄積はほぼ時間比例するとみなしてよい可能性が高く、問題なのは七夕から十二月十八日までの経過期間、約3年強という数字である。故に仮にループ説に則りループ中の体験を全て保持している立場を採用した場合、長門はエンドレスエイト中に消失事件を引き起こすという「誤算」を発生させているはずだが、そうはなっていない。

エンドレスエイトは何だったのか

ループ説に疑問や矛盾が生まれる以上、エンドレスエイトはループではなかった可能性を模索するべきである。最もあり得るのは、8月31日のハルヒが毎回満足できずに時間を巻き戻したのではなく、8月17日0時時点のハルヒが世界を無数に分裂させると同時に31日時点に次元断層を発生させ、31日の自分が満足を覚えたルートのみ、9月1日以降につなげさせたという超分裂説である。

この場合、直列的に何度もやり直したのではなく、微妙に初期条件の異なる[11]いくつもの世界を並列的に試み、そのうち満足の行ったごく一部のルートのみを残すことに決めたという解釈をすることができる。

エンドレスエイト分裂説の検証

分裂説。

デジャブは分裂でも起こる

ループ説の最大の根拠とされているのが、情報統合思念体経由の長門が伝えた情報と、キョンや古泉一樹が見るデジャブである。しかし、デジャブが発生するのは何もループ環境下のみではなく、分裂環境でも起こる。実際驚愕編では、αルートでは、ハルヒが「誰かのためにご飯を作ってあげる」[12]夢でも見たのかもと言ってβルートで長門を看病するために料理する自身の行動に言及したり、キョンがβルートで聞かされたハルヒの母親が味覚音痴であるという話をαルートでぴたりと当てたり、古泉とキョンが揃って「なぜかこのタイミングで野球道具を使用しなければならない予感がした」「僕もなぜだかキャッチボールをしたい、いや違いますね、しなければならないという妙な強迫観念に捕らわれていた」[13]と述べてβルートに倣ってキャッチボールしたりしている。

このことは分裂した世界同士が何らかの微妙な相互作用を残していたということを意味し、エンドレスエイトが超分裂であったとしても、ループ説同様のデジャブが発生することが予測できることを意味する。

分裂した世界なら情報統合思念体は把握できる

驚愕後編において、αルート・βルート統合後の世界にタイミングよく情報統合思念体のヒューマノイドインターフェースたちが集合し状況を把握しているかのような描写があるため、情報統合思念体は、人間ですらデジャブを感じ得る分裂世界であれば、情報の同期は可能だと思われる。

情報統合思念体も長門も必ずしも真実を話すとは限らない

ここで、最後に分裂説のネックとなりそうなのは、長門が用いた「回目」という表現である。これは、恰も古泉の主張するループ説を支持するかのような表現に見えるからである。

しかし、第一に、αルートとβルートが便宜上の呼称に過ぎないように、「回目」も便宜的表現にしかすぎない可能性がある。この場合は「回目」表現には区分名以上の意味を持たない。

また、βルートの登場人物がαルートの物語にはデジャブを覚えておらず、分裂世界で発生したデジャブが一方通行であったことを考えるに、「回目」という表現は、そのルートに対してデジャブに相当する現象を与えるルートの数を人間の理解しやすい表現でまとめたという可能性も考えられる。

更に興味深い説として、情報統合思念体と長門が、意図的に真実を伏せた可能性が考えられる。この場合、長門と情報統合思念体は、古泉がループ説を唱えた中で、彼らの観測において潜在的に支障を与えるリスクのある別解釈を知らせない方が良いと考え、ループ説の表現に語彙をそろえたこととなる。実際、『溜息』では長門自身「わたしの言葉が真実であるという保証も、どこにもないから」[14]と述べている以上、彼女が真実を伝えるとは限らないのだ。

実際、作中では長門は知らせない方が良いと判断したことは知らせずに済ませるシーンが複数存在する。また、消失以前の長門が情報統合思念体に反旗を翻した描写は存在せず、情報統合思念体が話を合わせるように指示し、それに従っていたという可能性も排除はできない。

真実を伏せ、ループ説を敢えてそのまま信じさせることとした理由としては、後述の末路の違いが考えられる。ループであれば死者は出ない。だが、分裂であれば、合体を果たした驚愕編とは異なり、失敗ルートの世界は消滅する。故に死者、あるいは少なくとも生と死以前に完全消滅する自分たちが無数に発生する事となる。これをキョンに知らせた場合、キョンが不安定化してハルヒを変に刺激しかねないと判断し、沈黙を決意した可能性がある。

分裂説が正しい場合に予測されること

分裂説が正しかった場合、以下のような可能性が予測される。

正解ルートが一つだけだったとは限らない

ループ説ではループから脱出したのは最終ルートのみということになるが、分裂説に基づけば、複数のルートが次元断層を解消して9月1日に至っていたとしても不思議ではない。原作の15498「回目」やアニメ版の15532「回目」はその一つでしかなくなることとなり、複数のルートが生き残った場合、その先の世界においても多数のifが実現した可能性が残る(例えば一部ルートで消失時空が固定化され、固定化に伴う追加改変によって長門有希ちゃんの消失の時空につながった可能性など)。

15498「回目」が一つだったとは限らない

分裂説では、「回目」はそのルートにデジャブを与えるルート数に1を足したものとして定義される。すなわち、15497個のルートがそのルートにデジャブを与える元となっているルートはどれでも15498「回目」として扱われるため、15498「回目」が複数あってもおかしくないこととなるのである。

これにより、小説版とアニメ版の15498「回目」の結末が異なったことと、アニメ版で長門が一見すると数え間違いをしていることの両方に説明を付けることができる。小説版の15498「回目」とアニメ版の15498「回目」は、単純に異なるから異なる結末を迎えているが、どちらも15498「回目」であることに誤りはない。

仮にアニメ版を15498「回目」’と呼び、関連するルートをダッシュ系列と呼ぶと、長門の数え間違いの発生は、15513「回目」’まではダッシュ系列の集合を参照していたところ、15521「回目」では、更に別のダブルダッシュ系列(15521「回目」’ではなく15521「回目」’’)に参照系列をシフトしたことによって発生したものであり、実は数え間違いではないという解釈が可能になる。この場合、一見すると数え間違いに見える現象こそが、実は分裂説を示唆しているのだと考えることができる。

脱出したとされる回数≠分裂ルート数

ループ説では、脱出したとされる回数がそのままループ回数となる。これに対し、分裂説では、分裂したルートの真の数は不明である。「回目」は、分裂の最小数を示すに過ぎない。

脱出失敗ルートの末路

ループ説では、脱出に失敗しても時間が戻るだけである。一方、分裂説では、次元断層に阻まれた脱出失敗ルートはその先の時間がないので、消滅することとなる。

ここから、ハルヒが人の死を望まないことを根拠とした反論が生まれそうである。しかし、世界の消滅がすなわち死と同義であるかは不明であるし、望むなら全てをやり直せる立場にある願望実現能力の持ち主としては、シュレディンガーの猫が一定の確率で生き延びるのと同様、並列実験の中での生存確率0でなければ系として自分たちは生きていることになるから問題ないと考えたとしてもおかしくはない。意識的なハルヒがその考え方を採用するとは確かに考えにくいが、無意識は閉鎖空間という限定空間とはいえ、実際に世界の破壊に携わっているのだ。

結論

エンドレスエイトの定説であるループ説にはいくつか矛盾や疑問があること、分裂説を採用した場合それらの疑問や矛盾が解消され、作中表現とも矛盾しないことを確認した。但し、「矛盾しない」という消極的支持理由にとどまるポイントもいくつか存在するため、今後の作品展開で分裂説に直接的にノーを突きつけられる可能性はあり得なくはない。

脚注

  1. 以上引用は涼宮ハルヒの暴走、スニーカー版12ページ。
  2. 暴走スニーカー版pp. 24~25。
  3. 暴走スニーカー版、p.59。
  4. 涼宮ハルヒの驚愕 (前)、p.181。
  5. 暴走スニーカー版p.55。
  6. 以上、涼宮ハルヒの消失、スニーカー版p208。
  7. 涼宮ハルヒの消失、スニーカー版p187。
  8. 涼宮ハルヒの消失、スニーカー版p187。
  9. 涼宮ハルヒの消失、スニーカー版p187。
  10. 執筆順の問題を考慮しても、この先の伏線としてですら一切言及されないのは非常に考えにくい。この頃の作者は速筆であり、アイディアは既に温めていたであろうし、何よりも俗説ではエンドレスエイトが長門のエラーの一因になったと良く言われているのだ。
  11. 分裂と同時に世界改変を多少絡ませている。服装の違いなどの発生する理由である。ループでもそれは可能であるが、上述のように他にもループ説の否定要素は多数存在する。
  12. 驚愕 (前)、p.193。
  13. いずれも涼宮ハルヒの驚愕 (後)、p.29。
  14. 溜息スニーカー判、p.251。

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